上州真田武将隊様⑤

和装と洋装の違いはいくつかあるのですが、大きな違いは肩傾斜とアームホールにあります。

着物を床に平置きしていただければわかるのですが、着物の肩傾斜は水平になっております。一方洋服の肩傾斜は少し斜めになっているのがおわかりになるかと思います。

人間の肩は少し傾いておりますので、洋服のように肩傾斜が合ったほうが生地が余ってしわになることもなく、見た目もスッキリします。

ただそのゆとり分が着物を着物たらしめる特徴でもあります。

人間の腕の付け根を真横から見ると楕円形をしております。
洋服の場合、この楕円形に沿うように袖の付け根が丸く縫い合わされております。これを服飾用語でアームホールと言います。
和服はといいますと、アームホールはカーブしておらず直線になっております。
ですが着物はゆったりとしたデザインですので、それほど気にならずに袖を通すことができます。

衣装を制作するときは、これらの特徴を踏まえて和装と洋装のどちらのテクニックで製作するかを考えてから、製図を行います。
今回の衣装は、形的には日本古来からある陣羽織なので和装のテクニックで製作しても製作自体は可能なのですが、どうしてもゆったりとしたシルエットになってしまいルーズフィットになってしまいます。
今回は女性のお客様からタイトシルエットでとのご要望を頂いておりましたので、できるだけ体にフィットするように洋装のテクニックで製作をしております。

具体的には、肩には傾斜を付け、袖はアームホールの形状で脇の下部分から中のインナーなどができるだけ見えないようにし、ウエストもシェイプして体のラインが出るようになっております。

和装と洋装どちらのテクニックで制作するかはお客様のイメージとの兼ね合いもございますのでご相談しながら決めさせていただいております。