最適なプリントの選び方

よさこいや太鼓衣装を制作する際にプリントは出来栄え、費用を大きく左右する要素となります。

そこでデザインに応じてどのようにプリントを選べば良いのかをそれぞれのケースごとにご紹介させていただきます。

現在衣装製作で使用するプリント方法は大きく分けて二通りございます。

アイロンプリントカッティングシート

パソコンでロゴのデータをイラストレーター形式(.ai,.eps)で作成し、専用のシートをカッティングプロッタでカットしてアイロンの熱で生地に溶着します。

昔はこのようなプリントの場合はシルクスクリーンでプリントを行っていたのですが、近年シルクスクリーンの加工業者さんが廃業してきており、また精度にばらつきがあることから弊社ではアイロンプリントカッティングシートへと切り替えております。

シルクスクリーンと違ってデザインごとに版を作成する必要がなく、小さい範囲でしたら比較的安価にプリントが再現できます。

特徴は以下のとおりです。

・単色プリント
色を増やす場合は、シートを重ねて貼る必要がある。

・ロゴの複雑さによって費用が変わる。
シートの不要部分は手作業で取り除きますので、模様が細かくなると費用が高くなります。

・ラメ、反射、蓄光等のプリントができる。
テキスタイルプリントでは難しいメタリックプリントも可能です。

・模様のある生地にもプリントができる。

テキスタイルプリント

テキスタイルプリントは、プリント用の白い生地に大型のプリンターのような機械でインクを染み込ませプリントを行います。

総柄プリントや昇華転写プリントなどとも呼ばれております。

特徴は以下のとおりです。

・フルカラープリント
メタリックは不可ですが、色数はいくら増やしても費用は変わりません。

・ロゴの複雑さによっても費用が変わらない。
プリント範囲内でしたらどれだけモチーフを詰め込んでも費用が変わりませんので、チームロゴの背景をグラデーションにしたり、アクセントとなるようなプリントを増やしてもプリント費用は変わりません。

・白い生地にプリントするので裏面が白色になる。
通常の市販生地は、生地ごと染めておりますので表面と裏面の色は同じですが、テキスタイルプリントは白い生地にプリントをしますので、染まるのは表面だけです。そのため裏面は白くなってしまいます。

最適なプリントの選び方

アイロンプリントカッティングシートとテキスタイルプリントそれぞれ特徴がございますので、デザインごとにどちらが適しているかをご案内させていただきます。

1.チームロゴが単色で一箇所だけに有る場合

このイラストのようにチームロゴが単色で背中のみなどの場合は、アイロンプリントカッティングシートでの再現が適しております。

土台となる生地は、市販生地や弊社からお送りする生地サンプルなどからお選び頂けます。柄のある生地にもプリントができます。

テキスタイルプリントは1mあたりのプリント費用が高いため、そちらと比べると生地費用を大きく抑えることが可能です。

ただロゴが大きくなったりプリント箇所が増えてくるとテキスタイルプリントの方が安くなる場合がございます。

2.チームロゴが多色使いで背中にだけ有る場合

先程のケースから背中のロゴの色数が増えただけなのですが、この場合費用が大きく跳ね上がってしまいます。

それは背中のロゴが多色使いになったことでアイロンプリントカッティングシートが使用できずテキスタイルプリントでの再現になり、且つ背中の地の色と前身頃、袖の色を揃えるため、プリントの無い身頃や袖部分もベタ塗りでテキスタイルプリントを行う必要があるためです。

その結果、1着あたりのテキスタイルプリントでプリントする生地の量が増えて制作費用が上がってしまいます。

3.身頃にグラデーションが有る場合

グラデーションのデザインが有る場合はテキスタイルプリント一択になるのですが、その場合グラデーションの無い部分の生地をどうするかが問題となります。

こちらのデザインのようにグラデーションの上部の青と袖の青が同じ色の場合、袖も含めてテキスタイルプリントで再現する必要がございます。

袖はただのベタ塗りの青なのですが、それでも身頃と色を合わせるためにテキスタイルプリントで再現します。
ただベタ塗りだけではもったいないので、袖にはモチーフを追加したりラインや紋様を加えても良いかもしれません。

プリントする箇所にはどれだけモチーフを詰め込んでもプリント費用は変わりませんので、全体のバランスがおかしくならない程度にデザインを加えてはいかがでしょうか。

4.身頃にグラデーションが有るが袖の色が違う場合

先程は身頃と袖の色が同じだったため袖もテキスタイルプリントで再現する必要が有りましたが、こちらの場合は袖の色が身頃と異なっております。

このケースでしたら袖はテキスタイルプリントよりも安い市販の生地が使用できますので、袖の生地分費用が抑えられます。

イラストのように七分丈の袖でしたらそれほど費用は変わらないのですが、振り袖タイプの袖の場合生地の分量がたくさん必要ですので、制作費が大きく変わってまいります。

費用を抑えたい場合は、こちらの方法も念頭に置いてデザインして頂けますでしょうか。

5.費用対効果を優先した場合

最後に多色プリントを使って一番費用が抑えられる方法をご案内いたします。

それはこちらのイラストのようにできるだけテキスタイルプリントでプリントする範囲を絞って、使用生地の大部分を安い市販生地で制作する方法です。

背中の多色プリント部分だけテキスタイルプリントで再現し、帯で隠れるウエストで生地を切り替えて他は市販生地を使用します。

デザインする際の難易度は上がってしまいますが、その分費用が抑えられ、多色プリントのチームロゴを衣装に盛り込むことで特徴ある衣装が制作できます。

まとめ

このところプリントの入ったデザインを希望されるお客様が非常に多くなってきております。

衣装の出来栄えを大きく上げることができ、他チームとの差別化対策にも効果的なので、弊社といたしましてもそのご希望にできるだけお応えしたいのですが、ご予算との兼ね合いもございますので、どうすればできるだけ安くプリントができるかをご案内させていただきました。

ご予算が潤沢にあれば、全てテキスタイルプリントで再現する方法が完成度が高くなるのですが、ご予算に限りが有る場合は、少しデザインする際の手間がかかりますが上記の方法もご検討いただけますでしょうか。

それぞれの方法でどのくらい費用が変わるのかは、ご希望のデザインイラストを拝見してケースごとにお見積りをさせていただいておりますので、お気軽にお問い合わせください。

補足

袖に市販生地を使って、その色に合わせて身頃の色をプリントできないかと思われた方がいらっしゃったかもしれません。

すでにある生地と色を合わせてプリントすることをカラーマッチングといいます。

カラーマッチングももちろん可能なのですが、カラーマッチング一回ごとに追加で費用が発生してまいります。
1回目のカラーマッチングでうまく色が揃えば良いのですが、微妙に異なる場合は何度も繰り返す必要があります。そうなると普通にテキスタイルプリントでプリントした際の費用とカラーマッチングした際との費用差がなくなることも考えられます。

また日焼けやお洗濯などによる経年劣化で市販生地とプリントした生地で色が変わってしまう可能性もございます。

そのため弊社ではカラーマッチングはあまり推奨をしておりません。

例外として過去に制作した衣装と色を揃えたいなどのご要望の場合はカラーマッチングで色合わせを行わせていただいております。

何卒ご了承頂けますようお願い申し上げます。

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