よさこい衣装のデザイン方法①

今回から数回に分けてよさこい衣装を実際にデザインする方法をご紹介したいと思います。
「デザインをすることになったけど何から手を着けて良いかわからない!」といった方にもわかりやすいようにご説明させて頂きますので、少し長くなりますがご覧いただけますと幸いです。

1.資料集め

プロのデザイナーでも情報が全くない状態からデザインを起こすことは困難です。
では衣装等をデザインする際に必要な資料はどこにあるのでしょうか。
私が学生の頃にアパレルメーカーにインターン(企業実践)に行ったとき、デザイナーの方が資料集めに行くというので、とことことついて行った先は大きな図書館でした。
モード系の雑誌やストリート系の雑誌などトレンドが把握できて自社の製品に生かせそうな写真をどんどんコピーしていきました。
それが一段落すると、町に出ておしゃれな人の写真をパシャパシャと撮っていきます。
その後会社に戻り任務完了です。
それを見て私は「デザイナーってなんて楽な商売なんだ。」と思いました。
当時はネットも無く実際に足を使って資料のある場所まで移動しないといけませんでしたが、今ではパソコンで知りたい情報を検索すればすぐに欲しい画像にたどりつくことができ更に楽になりました。

今回は衣装本体の形はベーシックな着物タイプで、プリント図案をアレンジしてデザインを行っていきたいと思います。
まず検索ワードの選定ですが、着物のデザインと親和性の高い「日本美術」でグーグルの画像検索をしました。
そして数ある画像の中から下の画像を選んでモチーフを抽出していくことに決めました。
葛飾北斎 「鷹図」 紙本 着色 太田記念美術館開館五周年特別展葛飾北斎展出品
葛飾北斎の「鷹図」です。

画像を選ぶ際のポイントは、
・モチーフとして使いやすそうな図案が含まれているかどうか
・参考となる色使い(配色、グラデーションなど)が含まれているかどうか
・なにか心に残る印象をうけたもの
・チームイメージに近いもの
などを考慮しながら選んでいきます。

2.モチーフの抽出

次に選んだ資料から使えそうなモチーフを抽出していきます。
よさこい衣装デザインの方法1-1
これは鷹の羽根部分をアウトライン化したものです。メインデザインとして使ってみたいと思います。

よさこい衣装デザインの方法1-2
鷹の羽根の模様です。

よさこい衣装デザインの方法1-4
画像下にある生地の模様から抜き出しました。ワンポイントとしてどこかに使えそうです。

よさこい衣装デザインの方法1-3
鷹の留まっている棒の先にある装飾を平面化したものです。袖端や裾などの装飾に使えそうです。

よさこい衣装デザインの方法1-5
これも棒についている装飾です。羽織などの前袷を結ぶひもの根元の装飾に使えそうです。

よさこい衣装デザインの方法1-6
鷹の爪です。今回は使いませんでしたがドラゴン系のモチーフのときに役に立ちそうです。

一枚の資料からモチーフが6個抽出できました。
これらをつかって実際にデザインを行っていきます。

3.デザイン~モチーフの配置~

モチーフの抽出はまさに作業という感じであまり楽しくはないのですが、このデザインの段階になるととても楽しくなってきます。
モチーフの大きさや配置を変えて、みなさんも楽しんでデザインをしてみましょう。
色の配色は、このモチーフの配置が済んでからでも良いと思います。

実際に配置したものを見ながらデザインのポイントをお話ししたいと思います。
よさこい衣装デザインの方法1-7

まずメインモチーフとして鷹の羽根部分を使うことに決めました。
配置は無難に背中に持ってきています。大きさや他の部分とのデザインのつながりを考慮しながら配置します。
前身頃にも後と同じ模様を持ってくるとすこしデザインがうるさそうでしたので、前のデザインは後より簡略化しています。
メインの配置が決まりましたら、あとはサブデザインの配置です。
あくまでサブですのでメインが目立つように添える程度にデザインしていきます。
ひとまず袖先に棒の先の装飾模様を配置してみました。
小紋に使えそうなモチーフを抽出していたこともあったのですが、袖の空欄部分が目立ってさみしかったので菱形のモチーフを小紋として使うことにしました。
これでひとまずモチーフの配置は完了です。
次はこのデザインに色を塗っていきたいと思います。

4.配色

今回配色は鳥つながりということで、実際の鳥などから配色のパターンを取り入れてみることにします。
配色したものがこちらです。
よさこい衣装デザインの方法1-8

白文鳥:くちばしの赤と羽根の白を1:9のバランスになるように配色してみました。
鳳凰:背中の羽根模様がきらびやかですので、他はすこし抑えめにしてみました。
オウム:鳳凰の色違いバージョンです。
鶴:個人的には好きなのですが、シックすぎて喪服みたいですね。

5.まとめ

といった感じでデザインを行ってみましたが、いかがでしたでしょうか。
今回は資料が一枚だけでしたが、更に資料を集めてもっといろいろなモチーフから好みに合ったモチーフの選択と配置をすることもできます。
選択肢が増えるとそれだけ組み合わせのパターンも増えますので作業は大変そうですが、やってみると楽しいものです。

次回はまた違ったアプローチでデザインをしてみたいと思います。

弊社にお問い合わせ頂く際は、完成したイラストがなくても全然大丈夫です。
資料だけの段階でお問い合わせ頂き「この資料から作りたいのですが。」でももちろん結構です。一緒にデザインを考えていきましょう。
お伺いしたイメージから資料をこちらで集め、モチーフを抽出してご提案もさせて頂きます。
どんなことでもご相談に乗りますのでどうぞお気軽にお問い合わせくださいませ。

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